スタッフコラムSTAFF COLUMN

メニューを開く

メガメニュー を閉じる

access

company

労務

2024/02/04

令和6年10月~社会保険の適用がさらに拡大

令和6年10月~社会保険の適用がさらに拡大

こんにちは!社会保険労務士の井澤です。

 

「働き方改革」や「多様な働き方」といった言葉がすっかり世の中に定着した昨今、毎日のように何かしらの記事やニュースで関連するトピックが取り上げられていますが、今後の働き方や生活に多大な影響を及ぼすことが予想される、直近の法改正の内容は把握されていますか?

 

今回のブログでは、2024(令和6)年に施行される法改正の中から、「社会保険の適用拡大」について取り上げさせていただきます。

 

■ そもそも、社会保険の適用拡大とは?

2016年から段階的に進められてきた「社会保険の適用拡大」は、これまで社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)の加入要件を満たさなかった短時間労働のパート・アルバイトの方々が社会保険に加入しやすくなるよう、従来の条件を緩和し、被保険者を増やすべく推進されてきました。

当初は「従業員数501人以上の企業」といった大企業を対象としていましたが、その後の年金制度改正法により、2022年10月以降は「従業員数101人以上の企業」まで一気に急拡大!

そして、2024(令和6)年10月以降は、いよいよ「従業員数51人以上の企業」まで人数規模要件が引き下げられ、更に適用範囲が広がります。

  • この改正により、社会保険適用拡大の対象となった企業を法律上では、「特定適用事業所」という名称で定義づけています。
  • 適用拡大の対象となった被保険者の方の社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)も、従来の制度と同じく、会社と従業員で各々半額ずつ負担しなければなりません。

事業の運営上、増額する法定福利費の試算、対象者を把握して加入の説明を実施したり、手続きの準備、給与計算の整備を進めるなど、10月以降に慌てることのないよう、早め早めの対応をお勧めします。

日本の会社の99%以上は中小企業です。2024年10月改正により、「特定適用事業所」に該当する会社と新たに社会保険の加入要件を満たすパート・アルバイトの方が増加することにより、働き方や社会保険料の負担、将来の年金受給について、改めて考える機会が増えそうですね。

 

■ うちの会社も特定適用事業!? 従業員数の数え方は?

特定適用事業に該当するかどうかを決定づける「従業員数51人以上(2024年10月以降)」は、会社に在籍している従業員数ではなく、「厚生年金保険の適用対象者数(被保険者数)」の人数で判断します。具体的には、①正社員等のフルタイム従業員数と、②週所定労働時間及び月所定労働日数がフルタイムの4分の3以上の従業員数、①②を合計した人数で判定を行います。

  • 法人事業所の場合は、法人番号が同一であるすべての適用事業所の厚生年金被保険者の総数で判定
  • 個人事業所の場合は、適用事業所単位の厚生年金被保険者数で判定

 

(補足)

週所定労働時間及び月所定労働日数とは、就業規則、雇用契約書等により会社と約束した、勤務すべき労働時間、日数のことをいいます。この時間や日数がフルタイムの4分の3以上であれば、パート・アルバイトといった非正規雇用の従業員も厚生年金保険の加入対象となります。

 

■ 毎月のように入退社があり、人数が一定しない場合はどうなるの?

このようなケースでは、月ごとに従業員数をカウントして、厚生年金保険に加入する従業員の総数が直近12か月のうち、6か月以上で50人を超えることが見込まれる場合に、特定適用事業となります。

  • 一度、特定適用事業に該当すると、その後、当該被保険者である従業員の総数が常時50人を超えなくなった場合でも、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。
  • どうしても特定適用事業から外れたいということであれば、使用される被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証明する書類を添えて、年金事務所へ「特定適用事業所不該当届」を届け出ることで、適用拡大の要件から外れ、以前の社会保険適用事業所へ戻ることも可能です。   

           

■ 適用拡大の対象者とは??

パート・アルバイト等の短時間労働者の内、次の①~④全ての項目に該当する方が対象です。

 

① 週の所定労働時間が20時間以上(雇用保険の加入要件である週20時間以上と同じ)

残業など臨時に生じた労働時間は含みません。

 

(補足)

雇用契約書や労働条件明示書等で、週所定労働時間が20時間未満であることを明記している場合であっても、実労働時間が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上見込まれる場合には、3か月目から社会保険に加入します。

 

② 月額賃金が8万8千円以上

時給等の場合、月額に換算した額に各諸手当等を含めた所定内賃金の額が、8.8万円以上であることが要件です。

ただし、次に掲げる賃金は除きます。

(除外対象)

  • 臨時に支払われる賃金および1月を超える期間ごとに支払われる賃金(例:結婚手当、賞与等)
  • 時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われる賃金(例:残業手当、休日出勤手当、深夜の割増賃金等)
  • 最低賃金法で算入しないことを定める賃金(例:精皆勤手当、通勤手当、家族手当)

 

③ 学生ではない(雇用保険の適用除外者と同じ)

大学、高等学校、専修学校、各種学校(修業年限が1年以上の課程に限る)等に在学する生徒または学生は適用対象外となります。

ただし、次に掲げる方は被保険者となります。

(対象者)

  • 卒業見込証明書を有する方で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の方
  • 休学中の方
  • 大学の夜間学部および高等学校の夜間等の定時制の課程の方等

 

④ 以下のいずれかの適用事業所に使用されている

  • 特定適用事業所
  • 任意特定適用事業所労使合意により事業主が適用拡大を行う旨の申出をした「厚生年金保険の適用対象者数(被保険者数)が50人以下(2024年10月以降)」の法人または個人の適用事業所)
  • 国又は地方公共団体の適用事業所(ただし、健康保険に係る徴収・給付はなし)

参考▼日本年金機構 

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.html

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和6年10月施行分) 

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/jigyosho/tanjikan.files/QA0610.pdf

■ 最後に…

前述の通り、適用拡大の対象となる社会保険は、「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」の3つですが、加入要件を満たして被保険者となった場合、一体何歳まで保険料を支払うのでしょうか?

今回は、年齢によって社会保険の資格を喪失する場合の保険料納付期間をご案内させていただきます。

① 「健康保険料」の保険料納付期間

被保険者の資格を取得した日の属する月~75歳の誕生日当日の属する月の前月まで

  • 75歳の誕生日当日に健康保険の資格を喪失し、同日に自動的に後期高齢者医療制度の被保険者へと移行します。
  • 扶養に入っているご家族の方も同様です。

 

② 「介護保険料」の保険料納付期間

40歳に達する日(誕生日の前日)の属する月~65歳に達する日(誕生日の前日)の属する月の前月まで

  • 上記は、介護保険第2号被保険者の期間と同一です。
  • 65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より介護保険料が徴収されることとなります。

 

(例)「1/1生まれの被保険者」の保険料納付期間

40歳に達する12/31が属する12月分~65歳に達する12/31が属する12月分の前月、つまり11月分まで。

月の途中や末日に該当した場合であっても、日割り計算されることなく、1か月分の保険料を丸ごと徴収されますが、最後の徴収を前月分までとすることで帳尻を合わせているんですね~

健康保険制度を運営する保険者(協会けんぽと健康保険組合)の内、主に中小企業が加入する協会けんぽは、会社へ「この方、今月から介護保険料の徴収始まりますよ~」といった通知はしてくれません。しかし、保険料は問答無用で徴収されますので、給与計算のご担当者様は十分お気を付けください。 

 

③ 「厚生年金保険料」の保険料納付期間

被保険者の資格を取得した日の属する月~70歳に達する日(誕生日の前日)の属する月の前月分まで

  • 徴収の考え方は、②の(例)と全く同じです!

 

□ ちなみに国民年金では…

個人事業主や社会保険の加入要件を満たさないパート・アルバイトの方々は、国民年金第1号被保険者となります。加入期間および保険料納付期間は、原則として、「20歳に達する日(誕生日の前日)の属する月~60歳に達する日(誕生日の前日)の属する月の前月まで」です。

このように社会保険制度は、資格を喪失する際の年齢がバラバラなんです(*_*)

ややこしいですが、給与担当者の方は、保険料の徴収漏れや1か月多く徴収してしまった!なんてことが起こらないよう、しっかり把握しておかなければならないポイントですね。私も気を付けなければ!

法改正から労務全般、ご心配なことがあれば、いつでもグロースリンク社会保険労務士法人へご相談くださいませ。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

この記事をSNSでシェアする

CONTACT

お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

受付:9:00~18:00(土・日・祝日をのぞく)