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2025/07/01

「年収の壁」緩和で家計の負担を軽く!

「年収の壁」緩和で家計の負担を軽く!

こんにちは!

名古屋の税理士 グロースリンク税理士法人です。

 

2025年度(令和7年度)の税制改正大綱が発表され、私たちの暮らしや働き方に大きな影響を与えるであろう「年収の壁」に関する改正が注目されています。特に、子育て世帯や扶養内で働く方にとっては朗報となる内容です。

今回は、この「年収の壁」の緩和について、住民税の視点も交えながら、わかりやすく解説いたします。

そもそも「年収の壁」って何?

「年収の壁」とは、主にパートやアルバイトで働く方が、税金や社会保険料の負担が増えることを避けるために、収入を一定額以下に抑えようとすることから生まれた言葉です。

代表的な「壁」は、所得税だけでなく、住民税や社会保険にも存在します。

  • 100万円の壁(住民税): 給与収入が100万円を超えると、**住民税の「均等割」**がかかり始めることが一般的です。これは、地域社会の費用を住民が均等に負担するもので、所得の多寡に関わらず一律にかかります。
  • 103万円の壁(所得税): 給与収入が103万円を超えると、本人に所得税がかかり始め、扶養者(配偶者など)の配偶者控除が適用されなくなります。
  • 106万円・130万円の壁(社会保険): 給与収入がこれらの金額を超えると、本人が社会保険料(健康保険や厚生年金保険など)の負担を開始し、扶養から外れることになります。これにより、手取り収入が一時的に減少する「逆転現象」が起きやすいとされています。

これらの壁を意識して、扶養内で働く方が「もう少し働きたいけれど、手取りが減るなら…」と労働時間を調整するケースが多く見られました。

令和7年度税制改正で「所得税の壁」が大きく緩和!

今回の税制改正大綱で、特に注目すべきは所得税の「103万円の壁」が実質的に緩和される点です。

具体的には、以下の控除額が引き上げられます。

  1. 基礎控除が最大95万円に!

    • 現行:48万円
    • 改正後:最大95万円
    • 物価高騰への対応として、まず所得税の基礎控除が一律10万円引き上げられ、58万円になります。(合計所得金額2,350万円以下の場合)
    • さらに、低・中所得者層の税負担を特に軽減するため、**「基礎控除の特例」が導入されます。**これにより、所得に応じて基礎控除額が上乗せされ、最大で95万円まで引き上げられることになります(例:給与収入約200万円以下で95万円)。
  2. 給与所得控除の最低保障額が10万円アップ!

    • 現行:55万円
    • 改正後:65万円

これらを合計すると、

現行:基礎控除48万円 + 給与所得控除55万円 = 103万円

改正後:基礎控除最大95万円 + 給与所得控除65万円 = 最大160万円

となります。

【所得税がかからない目安は?】

改正後は、給与収入が123万円(基礎控除58万円+給与所得控除65万円の場合)までであれば、本人に所得税がかからず、扶養者の配偶者控除も適用され続けることになります。

さらに、基礎控除の特例が適用される所得層では、最大で給与収入が約160万円まで所得税がかからなくなるため、大幅な緩和と言えるでしょう。

【適用時期】

この改正は、令和7年分の所得税から適用されます。したがって、令和7年末の年末調整から影響が出てくることになります。

住民税の「100万円の壁」はどうなる?

重要なポイントは、今回の税制改正大綱では、住民税の「100万円の壁」に関する変更は盛り込まれていないということです。

したがって、給与収入が100万円を超えると、これまで通り住民税(均等割と所得割の一部)がかかる可能性があります。

例えば、

  • 改正前:年収103万円 → 所得税・住民税ともに課税開始
  • 改正後:年収103万円 → 所得税は非課税だが、住民税は課税開始

となります。このため、住民税の「100万円の壁」は引き続き意識する必要があることに注意が必要です。

社会保険の壁も引き続き意識を!

今回の改正は所得税の壁の緩和が中心であり、社会保険の壁(106万円・130万円)は変わっていません

社会保険料の負担は家計にとって大きく、特に「106万円の壁」については、企業規模や働き方によって適用条件が異なります。今後も、社会保険の壁を超えて働く場合は、手取り収入のシミュレーションをしっかり行うことが重要です。

まとめ

令和7年度税制改正による「年収の壁」の緩和は、主に所得税の負担を軽減し、働く方の手取り収入を増やすための大きな一歩です。これにより、これまで税金を気にして労働時間を抑えていた方も、もう少し長く働けるようになる可能性があります。

しかし、住民税の「100万円の壁」や社会保険の「106万円・130万円の壁」は、引き続き存在します。ご自身の働き方やご家族の働き方を見直す際には、所得税、住民税、社会保険の全てを考慮し、トータルで手取り収入を最大化できる方法を検討することが大切です。

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