スタッフコラムSTAFF COLUMN

メニューを開く

メガメニュー を閉じる

access

company

税務

2026/09/10

「イノベーションボックス税制」をご存じですか?

「イノベーションボックス税制」をご存じですか?

こんにちは! 名古屋の税理士 グロースリンク税理士法人です。

 

今回の執筆は山本が担当します。

 

 

生成AIの実用化から数年で、ソフトウェア開発の前提が変わりました。

コードを書く速度が上がっただけでなく、「一旦作ってみて、微妙だったら捨てる」のコストが劇的に下がったことが大きいと感じています。

 

試作の回転数が上がると、これまで「面白いアイデアだが、検証に半年かかるので手を出せない」と諦められていた領域に手が届きます。

その結果、いま各所で起きているのが次のような変化です。

 

・個人がソフトウェアを開発して企業に販売する

・特定業界のベテランが、頭の中にしかなかった判断基準をソフトウェアに落とし込む

・社内向けに作ったツールに値段をつけて、他社に提供し始める

 

 

■「こういう会社が使える税制、何かありませんか?」

 

こうした場面で必ず出てくるご質問です。

 

多くの方がご存じなのは研究開発税制(試験研究費の一定割合を法人税から控除する制度)でしょう。

ただ、開発費ではなく、開発した成果物が生んだ売上そのものを優遇する制度が、別に用意されています。

 

 

◇こんな検索・こんな質問でたどり着いた方へ

・「自社開発したソフトウェアのライセンス収入に優遇税制はある?」

・「AIを使って作ったサービスの売上、税金が安くならないか」

・「特許のライセンス料に税金の優遇はある?」

・「日本にパテントボックス制度はあるの?」

・「研究開発税制以外に使える制度」

 

すべて同じ制度の話です。

正式名称はイノベーション拠点税制、

実務ではイノベーションボックス税制、

国際的にはパテントボックス税制として知られる仕組みの日本版です(※1)。

特許権などから生じた所得に対し税を優遇させることで、研究開発拠点としての立地競争力を強化し、民間による無形資産投資を後押しするための税制です。

 

■どんな制度なのか

 

大まかに言うと、自社で開発した特許権やAI関連のソフトウェアを他社に使わせて得た所得について、その30%を課税所得から差し引ける制度です(※2)。

 

令和6年度税制改正で創設され、2025年(令和7年)4月1日に施行されました。まだ動き出して1年ほどの、新しい制度です。

経済産業省の資料では、対象となる所得の法人実効税率が29.74%から約20%相当まで下がるとされています(※1)。

 

■押さえておきたいポイント

 

◇対象になるのは「特許」と「AI関連ソフト」

対象となる知的財産は、特許権と、AI関連のプログラムの著作物です。

どちらか片方があれば検討の対象になります。

 

なお、対象となるのは令和6年4月1日以後に取得または製作した知的財産に限られます。

 

◇会社の規模や業種は問われません

青色申告書を提出している法人であれば、資本金や従業員数、業種による制限はありません。

 

◇対象になるのはライセンス収入と譲渡収入

知的財産を使わせて得た使用許諾料や、譲渡した際の収入が対象です。

なお、グループ内での取引は対象から外れます。

 

◇使える期間

令和7年4月1日から令和14年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象です。

 

 

■要件はかなり細かく定められています

 

 

制度のガイドラインは91頁あり、どのようなソフトウェアが「AI関連」に当たるのか、

どういうものが対象になるのか、対象となる所得をどう計算するのかなどが、細かく定められています。

 

 

■こんな会社は一度ご確認ください

 

・特許権のライセンス料を受け取っている、または特許を譲渡した

・自社開発したソフトウェアを他社に使わせて収益を得ている(またはその予定)

・開発を主に国内・自社で行っている

・令和6年4月1日以後に登録された特許、または完成したソフトウェアがある

・これから顧客と契約を結ぶ、または既存契約を更新する予定がある

 

 

■おわりに

 

施行から1年しか経っていないので、意外と知られていない税制だと思います。

一方で、AIを使って入口の小さい事業を立ち上げる方が増えていくなかで、これから該当する会社は確実に増えていくはずです。

 

「自分の会社が対象になるのか分からない」という段階でも構いません。

研究開発税制との使い分けも含めて、お気軽にご相談ください。

 

その他、ご不明な点があれば

名古屋の税理士 グロースリンク税理士法人までお問い合わせください!

 

■出典・参考

 

本記事は2026年9月時点の公表情報にもとづく制度の概要のご紹介です。

実際の適用の可否は個別の事実関係により判断されますので、ご検討の際は専門家にご相談ください。

 

※1 経済産業省「イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)について」https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/about_innovation_tax.html

※2 租税特別措置法第59条の3

 

制度の詳細:経済産業省「イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)ガイドライン」令和7年3月

https://www.meti.go.jp/policy/tech_promotion/tax/innovation_tax_guideline.pdf

この記事をSNSでシェアする

CONTACT

お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

受付:9:00~18:00(土・日・祝日をのぞく)