相続
2026/10/19
令和8年分!相続税申告書の書き方と添付書類一覧や提出先
相続税申告書は、第1表から第15表までの申告書と、戸籍謄本などの添付書類をそろえて税務署に提出します。
期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月です。
しかし、役所や法務局、金融機関を回る必要があるため、書類集めだけで1〜2ヶ月かかることも珍しくありません。
記事では、令和8年分の様式の入手方法から添付書類の一覧、効率の良い集め方、記入する順番をわかりやすく解説します。
相続税申告書とは?

相続税申告書とは、相続や遺贈で財産を取得した人が納める相続税を計算し、税務署に報告するための書類です。
第1表から第15表までとその付表で構成され、自分に関係する表だけを選んで作成します。
様式は国税庁のホームページからダウンロードできます。令和8年分用から様式が変更されているため、令和8年1月1日から12月31日までに亡くなった人の申告では、必ず令和8年分用を使ってください。令和7年以前に亡くなった人の申告には、その年分の様式を使います。
申告期限は、相続開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10ヶ月以内です。期限が土曜日・日曜日・祝日などに当たるときは、その翌日が期限になります。
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相続開始の日 |
申告期限 |
|---|---|
|
令和8年6月9日(火) |
令和9年4月9日(金) |
|
令和8年6月10日(水) |
令和9年4月12日(月)※10ヶ月目が休日 |
出典:国税庁「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」
申告が必要な人
相続税の申告が必要になるのは、取得した財産の合計額が遺産に係る基礎控除額を超える場合です。
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
相続税の申告が必要かどうかは、相続や遺贈によって取得した財産、相続税の対象となる一定の生前贈与財産などを基に、非課税財産や債務・葬式費用等を考慮して計算した課税価格の合計額が、基礎控除額を超えるかどうかで判定します。
なお、生命保険金や死亡退職金には一定の非課税限度額があります。
申告することで税額がゼロになる人
注意が必要なのが、特例を使った結果、相続税がゼロになるケースです。次の2つは、申告が適用要件になっています。
- 配偶者の税額軽減:配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円と配偶者の法定相続分相当額のどちらか多い金額までは相続税がかからない
- 小規模宅地等の特例:自宅の敷地であれば330平方メートルまでの部分について、評価額を80%減額できる
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した結果、納付税額がゼロになる場合でも、原則として相続税の申告が必要です。適用要件や必要書類、期限後の取扱いは特例によって異なるため、申告期限前に確認しておくことが重要です。 本来かからないはずだった相続税に加えて、無申告加算税や延滞税まで課されるおそれもあるのです。
出典:国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」「No.4124 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」
相続税申告書は税理士なしでも作成できるの?

相続税申告書は自分で作成して提出できます。税理士に依頼しなければならないという決まりはありません。ただし、財産の内容によって難易度は変わります。
自分で作成しやすいケースや難しいケース
以下の表に自分で作成しやすいケースと難しいケースをまとめました。
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財産・相続人の状況 |
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|---|---|
|
自分で作成しやすい |
財産が現預金中心である/相続人が少ない/特例を使わない |
|
難しい |
土地がある/非上場株式がある/特例を適用する/相続人間の調整が必要 |
現預金や上場株式は金額がはっきりしているため、集計は難しくありません。一方、土地は路線価や地形、利用状況によって評価額が変わります。評価の仕方ひとつで税額が数百万円単位で変わることもあります。
自分で作成するデメリット
自分で作成する場合のリスクは以下3つです。
- 財産の申告漏れ:把握していなかった預金口座や家族名義の被相続人の財産を計上し忘れる
- 評価の誤り:土地の評価方法を誤り、本来より高く(または低く)計算してしまう
- 特例の適用漏れ:使えるはずの特例に気づかず、納めなくてよい税金を納めてしまう
申告額が少なければ、不足分に加えて過少申告加算税と延滞税がかかります。逆に納めすぎても税務署が教えてくれるわけではありません。
相続税申告書の添付書類一覧

税務署に提出する書類と申告書を作るために集める書類は別です。ここでは、提出が必要な書類を紹介します。
全員に共通して必要な書類
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書類 |
取得先 |
手数料の目安 |
原本/コピー |
備考 |
|---|---|---|---|---|
|
被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍の謄本 |
市区町村 |
1通450円(除籍・改製原戸籍は750円) |
コピーで可 |
相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの |
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法定相続情報一覧図の写し |
法務局 |
無料 |
写し |
上記戸籍の代わりに使える |
|
遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し |
― |
― |
写し |
提出が求められる書類 |
|
相続人全員の印鑑証明書 |
市区町村 |
1通300円程度 |
原本 |
遺産分割協議書を提出する場合に必要 |
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本人確認書類の写し |
― |
― |
コピー |
マイナンバーカードなど |
財産種類ごとに必要になる書類
財産評価に使う書類は種類ごとに異なります。
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財産の種類 |
集める資料 |
取得先 |
|---|---|---|
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不動産 |
固定資産税評価証明書、登記事項証明書 |
市区町村、法務局 |
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有価証券 |
証券、株券、通帳またはその預り証、配当金支払通知書 |
証券会社 |
|
現金・預貯金 |
残高証明書、預貯金通帳 |
金融機関 |
|
生命保険金 |
保険証券、支払保険料計算書 |
保険会社 |
|
債務 |
納付書、納税通知書、請求書 |
金融機関、市区町村など |
|
葬式費用 |
領収書、支払いの記録 |
葬儀社など |
出典:国税庁「相続税の申告のためのチェックシート」
残高証明書は亡くなった日時点の残高を証明する書類で、発行まで1〜2週間かかることもあります。お布施など領収書が出ない葬式費用は、日付・金額・相手先をメモに残せば債務控除の対象にできます。
特例や控除を適用する場合に必要な書類
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使う場合は、共通書類に加えて次の書類が必要です。
- 遺言書の写し、または遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの。原本)
- 申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限までに分割できない場合)
特例は「誰がその財産を取得したか」が確定しないと使えないため、遺産分割協議書と印鑑証明書がセットで必要です。
申告期限までに遺産分割がまとまらない場合でも、相続税の申告期限は延長されません。未分割の財産については、民法に規定する相続分等に従って取得したものとして申告します。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例については、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、原則として申告期限から3年以内に分割したうえで、更正の請求等を行うことで適用を受けることができます。
相続税申告書の添付書類を効率よく集める方法

平日に働きながら、相続税申告書の作成に必要な書類を集める方法をご紹介します。
相続開始から10ヶ月の逆算スケジュール
相続税申告は期限が決まっているため、後ろから逆算して各工程の締切を決めておくと、遅れに気づけます。
|
時期 |
やること |
|---|---|
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〜3ヶ月 |
戸籍謄本の収集、財産の洗い出し、残高証明書の請求 |
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〜6ヶ月 |
不動産や有価証券の評価、債務・葬式費用の整理 |
|
〜8ヶ月 |
遺産分割協議、遺産分割協議書の作成、印鑑証明書の取得 |
|
〜10ヶ月 |
申告書の作成、添付書類の整理、申告と納付 |
理想は、最初の3ヶ月で書類集めを終えることです。
戸籍は被相続人の出生までさかのぼるため、転籍を繰り返している場合は複数の市区町村に請求することになり、1ヶ月以上かかるケースもあります。
平日に動けない人のための書類の取り寄せ方
戸籍謄本は最寄りの市区町村でまとめて請求できます。
令和6年3月1日から広域交付制度が始まり、本籍地以外の窓口でも請求できるようになりました。請求できるのは、本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫です。ただし、コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外になります。
注意したいのが、兄弟姉妹の戸籍は広域交付では請求できない点です。子や孫がいない相続では兄弟姉妹が相続人になりますが、その戸籍は本籍地への請求が必要になります。窓口で断られてから郵送に切り替えると、そこで1〜2週間の遅れが生じるため、注意が必要です。
そのほか、次の方法も活用してください。
- 郵送請求:定額小為替と返信用封筒を同封して市区町村に請求する
- コンビニ交付:マイナンバーカードがあれば戸籍証明書や印鑑登録証明書を取得できる(対応する市区町村に限る)
- 登記事項証明書のオンライン請求:法務局のシステムから請求して郵送で受け取れる。窓口より手数料も安い
相続税申告書の書き方4ステップ

相続税申告書は、まず財産・債務や各種特例に関する明細を整理し、その計算結果を基に第1表を仕上げていくと作成しやすくなります。第1表は各明細書等の計算結果を集約するため、財産評価などを先に進めるのが一般的です。
なお、所得税の「確定申告書等作成コーナー」では相続税申告書を作成できません。国税庁がエクセル様式を配布しているわけでもないため、無料で作成するならe-Taxソフト(ダウンロード版)を使います。民間の作成ソフトは、令和8年分の様式に対応しているか確認してください。
以下では、相続税申告書の書き方を解説します。
STEP1:第9〜15表を記入
まず、相続する財産と債務をすべて洗い出して集計します。
- 第9表:生命保険金などの明細書
- 第10表:退職手当金などの明細書
- 第11表:相続税がかかる財産の合計表(付表1〜4に土地・家屋等、有価証券、現金・預貯金等、その他の財産を記入)
- 第13表:債務及び葬式費用の明細書
- 第15表:相続財産の種類別価額表
第11表は、令和6年分以降の様式で合計表と付表1〜4に分かれています。財産の種類ごとに付表へ明細を書き、それを第11表に集約する流れです。小規模宅地等の特例を使う場合は、第11・11の2表の付表1で減額後の価額を計算してから反映させてください。
STEP2:第1・2表を記入
第2表「相続税の総額の計算書」で、課税価格の合計額から基礎控除額を引き、法定相続分で按分(あんぶん)して相続税の総額を求めます。
この総額は実際の分け方と関係なく、法定相続分で分けたものとして計算する点が特徴です。続いて第1表の前半で取得した財産の価額を記入し、按分割合から税額を算出します。
STEP3:第4〜8表を記入
以下のいずれかに該当する加算と控除を計算します。
- 第4表:相続税額の加算金額の計算書(被相続人の配偶者および一親等の血族以外の人などが財産を取得した場合の2割加算等を計算)
- 第5表:配偶者の税額軽減額の計算書
- 第6表:未成年者控除額・障害者控除額の計算書
- 第7表:相次相続控除額の計算書
- 第8表:外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書
多くの場合は第5表だけ、または第5表と第6表で足ります。なお第3表、第12表、第14表は、農業相続人がいる場合や生前贈与加算がある場合など該当する人だけが使う表です。
STEP4:第1表で完成
第4〜8表で計算した控除額を第1表に転記し、各人が納める相続税額を確定させます。転記もとの表と数字が一致しているか、提出前に確認してください。
相続税申告書に関するよくある質問

最後に、相続税申告書に関するよくある質問にお答えします。
相続税申告書はどこでもらえるの?
国税庁のホームページからダウンロードするか、税務署の窓口で受け取れます。税務署の開庁時間は8時30分から17時までです。e-Taxソフト(ダウンロード版)を使えば、パソコン上で作成してそのまま提出できます。
相続税申告書の提出先と提出期限はいつ?
提出先は、被相続人が亡くなったときの住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地の税務署ではないため注意してください。提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。
相続税申告書と添付書類の綴じ方は?
国税庁は、添付書類にのりづけをしないよう求めています。機械で読み取るためです。複数枚に及ぶ場合はクリップなどで留めてください。
相続税申告書の提出方法は?
税務署への持参、郵送、e-Taxの3つです。土日祝でも時間外収受箱に投函すれば提出できます。郵送は消印の日付が提出日になります。ただし、財産を取得した人が10人以上いる場合など、e-Taxを利用できないケースもあります。
相続税申告書の記載例はどこで見られるの?
国税庁の「相続税の申告のしかた(令和8年分用)」32ページ以降に、モデルケースにそった記載例が掲載されています。書き間違えたときは、修正ペンや修正テープを使わず、二重線を引いて訂正してください。
相続税申告書は書類集めから逆算して進めよう
相続税申告書でつまずきやすいのは、書き方そのものよりも書類集めです。ポイントは以下3つです。
- 期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月。令和8年に亡くなった場合は令和8年分用の様式を使う
- 特例で税額がゼロになる場合も、申告しなければ特例は使えない
- 戸籍謄本はコピーで提出できる。広域交付を使えば最寄りの窓口でまとめて請求できるが、兄弟姉妹の戸籍は対象外
まずは戸籍と残高証明書の請求から着手し、最初の3ヶ月で書類を集めることを目標にしてください。
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監修者:鶴田 幸久 グロースリンクグループ 代表 / 税理士 専門は法人税務、事業承継、および経営改善支援。 グロースリンク税理士法人をはじめ、グロースリンクグループの代表として、中小企業の税務申告から事業承継、スタートアップ支援まで幅広く手掛ける。「経営者の第一の相談相手」として、財務基盤の強化や経営計画策定などの伴走型支援に尽力。 行政・地域企業との連携や経営者向けセミナーの講師、Webメディアでの執筆・監修活動を通じて、実務に役立つ税務・経営情報の普及に精力的に取り組んでいる。
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