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税務

2026/10/30

中小企業経営強化税制について!即時償却と税額控除を解説

中小企業経営強化税制について!即時償却と税額控除を解説

中小企業経営強化税制は、設備投資を検討する企業の強力な後ろ盾となる節税支援策です。

ただし、条件を複数満たす必要があることと、A類型やB類型の種類や承認されるための条件も多岐にわたります。

そこで本記事では、社内で導入予定の設備が該当しているのかの判断が適切にできるよう、適用条件や活用方法を詳しく解説していきます。

初年度の資金繰りのサポートとなる即時償却や、トータルの減税額を増やす税額控除のシミュレーションまで網羅しているので、最善の選択肢を決めるガイドとしてぜひお役立てください。

 

中小企業経営強化税制とは?

画像:中小企業経営強化税制とは?

中小企業経営強化税制とは、生産力や経営力強化を目的に、中小企業や小規模事業者の税制面を優遇・サポートする制度です。

認定には指定された設備の導入をはじめ、さまざまな条件が加わりますが、企業方針とマッチする設備であれば大きな節税効果を生みます。

 

本制度を検討する際のポイント

  • 事前計画と認定が必須:計画の策定や各種手続きが要される
  • 事業の実態との適合性:単純な節税目的ではなく、生産性向上の条件に合致しているかの確認

 

なお、税制上の優遇を受けるためだけに、本来は不要となる設備まで導入してしまわないよう、費用対効果やプロセスも重視して進めていくことが肝心です。

 

中小企業経営強化税制の対象と適用条件

中小企業経営強化税制の認定を受けるには、条件の確認が欠かせません。対象・適用条件で把握しておきたい4点について見ていきましょう。

  1. 資本金が1億円以下の対象事業者
  2. 指定事業の用途に供する設備
  3. 対象の設備ごとに満たす最低取得価額
  4. 経営力向上計画の認定を受ける

 

1.資本金が1億円以下の対象事業者

中小企業経営強化税制の対象は、資本金(合同会社は出資金)が1億円以下の法人が適用条件となります。

参考:中小企業庁 中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和8年度税制改正対応版 )

 

自社が利用できるかの判断基準は、主に以下の3つです。

  • 青色申告書を提出している
  • 資本金(出資金):1億円以下(法人)
  • 従業員数:1,000人以下(法人・個人事業主など)

 

資本金が1億円以下でも、みなし大企業と判断された場合、条件を満たしません。

※みなし大企業と判断されるケース

  1. 同一の大規模法人が発行済み株式の総数又は出資総額の総額の2分の1以上を所有している場合
  2. 以上の大規模法人が発行済み株式の総数又は出資総額の3分の2以上を所有している場合
  3. 前3年間の平均所得が15億円を超える企業

 

2.指定事業の用途に供する設備とは?

指定事業の用途に供する設備とは、導入を予定している設備が国の指定する事業用途に合致していることを意味します。

業種は幅広いですが、対象になるものと対象外があるため事前の確認が大切です。以下の表を参考に、自社の事業が該当しているかの確認もしておきましょう。

対象業種 対象外業種

・製造、建設、運輸、農業

・卸売、小売業

・医療、福祉

・不動産、宿泊業

・情報通信

※医療保険業の場合、事業者が取得または製作をする器具備品(医療機器に限る)、建物付属設備を除く

・電気、水道業 熱供給業

・鉄道、航空運輸業

・銀行業などの金融機関

・娯楽(パチンコ、ゲームセンターなど)

・性風俗関連特殊営業

・熱供給業

参考:中小企業税制<令和5年度版>

上記でバー、キャバレー、ナイトクラブ、料亭などは原則対象外ですが、生活衛生同業組合の組合員が営むものに限り、指定事業となる例外もあります。

 

3.対象の設備ごとに満たす最低取得価額

本制度の対象設備には、機械装置やソフトウェアなどさまざまな種類があります。また、それぞれには最低取得価額の基準も設けられているので、以下の表で該当しているかのチェックが必須です。

設備の種別 最低取得価格(購入金額)

機械装置

160万円以上

工具

40万円以上

※A類型は、測定工具または検査工具に限定

器具備品

40万円以上

建物附属設備

60万円以上

ソフトウェア

70万円以上

※A類型は、設備の稼働状況等にかかる、

情報収集機能および分析、指示機能をもつものに限定

参考:中小企業等経営強化法に基づく支援措置活用の手引き(令和8年度税制改正対応版)

 

導入にあたっては中古設備ではなく未使用の新品に限られ、国内事業での使用も条件に含まれます。

参考:国税庁 No.5434 中小企業経営強化税制(中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)

 

たとえばオークション等で購入した中古品や、海外の拠点で稼働させる設備はすべて対象外です。

 

4.経営力向上計画の認定を受ける

本制度の税制優遇は、設備の取得前に国から経営力向上計画の認定を受ける必要があります。

STEP

  1. 【工業会証明書の準備(A類型の場合のみ)】:設備購入先のメーカーや販売店に手配の依頼
  2. 【計画書の申請】:中小企業庁のポータルサイトから様式をDLし、作成・提出
  3. 【認定の取得】:審査を経て主務大臣から認定書の交付

認定書は郵送(紙)だと約30日を要しますが、電子申請は審査機関を短縮できるためスムーズです。

参考:経済産業省 関東経済産業局 経営力向上計画の申請について

参考:中小企業庁 経営力向上計画の申請について

 

ただし、先に設備を納品し稼働させると対象外になります。計画の申請を行い設備の取得(納品)を進める順序を必ず守りましょう。

 

中小企業経営強化税制のA類型とB類型

画像:中小企業経営強化税制のA類型とB類型

中小企業経営強化税制には、設備の特徴や申請方法に応じた複数の類型があります。どの型がマッチしているかの確認のため、次に代表的なA類型とB類の違いを把握していきましょう。

 

【A類型】工業会の証明書取得で申請

A類型は、メーカー経由で工業会の証明書を取得し、経営力向上計画の認定を受けることで活用できる、B類型に比べてシンプルな申請です。

  • 対象設備:先述の対象設備(機械装置や建物附属設備など)のうち、一定期間内に販売開始された指定モデル
  • 生産効率:メーカーの旧型モデルより年平均1%以上の効率がアップしている

参考:中小企業庁 工業会等による証明書について(中小企業等経営強化法の経営力向上設備等に係る生産性向上要件証明書)

 

複雑な利益計画の事前確認手続きなどは要らず、購入先のメーカーやディーラーに、経営強化税制の工業会証明書を依頼し、それを用いて経営力向上計画の認定申請を行う流れとなります。

 

【B類型】投資利益率計画を証明して申請

B類型は投資利益率7%以上となる計画を証明して申請する区分で、収益力強化設備が対象です。メリットは工業会証明書(A類型)が取得不可の設備でも、複数メーカーの設備をセットで申請し、節税効果を得られる点です。

 

申請のポイント

  • 認定経営革新等支援機関の認定を受けた公認会計士や税理士の事前確認、事前確認書を取得したうえで、本社所在地を管轄する経済産業局に投資計画を提出し、確認書を受ける
  • 設備の設置場所を示すレイアウト図などの添付が必要

 

B類型は高度な専門性や、徹底したスケジュール管理が求められます。したがって、不備による否認を防ぐためにも、実績が豊かな税理士法人へ任せることも手の1つといえるでしょう。

 

中小企業経営強化税制における即時償却と税額控除の選択

画像:中小企業経営強化税制における即時償却と税額控除の選択

本税制の節税には、即時償却と税額控除の2種類の選択肢があります。初年度に資金を残すか、あるいは翌年以降も含めたトータルの節税をするかに分かれるため、自社の財務戦略に合うのはどちらかをチェックしていきましょう。

 

【即時償却】初年度に資金を残したい企業向け

即時償却は、中小企業経営強化税制の認定を受けることで、設備の取得価額全額を初年度に一括で償却できる特例です。

初年度の手元に残るキャッシュを最大化し、同年の資金繰りを楽にしたい企業に最適といえます。

では、通常償却と即時償却を適用した、年度ごとの経費化のイメージもご覧ください。

 

比較(取得価額1,000万円・5年償却の例)※定額法・期首取得の場合

 

通常の償却

本税制(即時償却の適用)

1年目

200万円

1,000万円(一括全額経費)

2~5年目

毎年200万円

0円

 

本税制で1年目に一括で経費を落とすと、会社利益が小さくなった結果、初年度に会社が国へ支払う税を大幅に軽減できます。

 

【税額控除】トータルの節税を重視する企業向け

即時償却が初年度に大きく節税できるのに対し、税額控除は対象設備の取得価額から、7%もしくは10%(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%)を、その年の法人税額から直接差し引ける制度です。

※控除額は当期の法人税額の20%が上限(控除しきれない分は翌期に繰越可)

即時償却のように初年度の一括償却はできないものの、中長期の視点で税の総額を一番少なくしたい企業に向いています。

 

比較(取得価額1,000万円・5年償却の例)

 

通常の償却

本税制(税額控除の適用)

1年目

200万円

・200万円+税額控除(70~100万円)

※7%:資本金3,000万円以下

※10%:資本金3,000万円超1億円以下

2~5年目

毎年200万円

毎年200万円

 

即時償却だと1,000万円のままですが、税額控除であれば償却費の合計は、1,000万円で変わらず、それとは別に法人税額が最大100万円(上限あり)減るため、トータルでの節税効果が高くなります。

 

中小企業経営強化税制の適用期限と延長

画像:中小企業経営強化税制の適用期限と延長

中小企業経営強化税制には適用の期限が設けられているため、計画の先延ばしをせず社内会議を開きスケジュールを組み立てることが大切です。

また本制度には変更も加わっており、類型の新設・廃止要件があったので、ここでは適用期限の延長と要件の変更について理解を深めておきましょう。

 

【期間】税制改正で適用期限が延長

中小企業経営強化税制は適用期限が2025年3月末まででしたが、2027年(令和9年)3月31日まで延長されました。

参考:中小企業庁 中小企業経営強化税制

 

計画期間にゆとりが出た一方で、工業会証明書と経営力向上計画のスケジュールの管理も引き続き重要となります。

加えて、経営力向上計画に関する、認定が早い電子申請にはデジタル庁が発行する、デジタル身分証明書(GビズIDプライム)が必須のため、事前に取得しましょう。

手続きや期間について混同しないよう、以下の表で整理しました。

種類

取得方法・審査期間

工業会証明書

数日~2ヶ月

経産局の確認申請書

(GビズID有り)

・通常の電子申請:約14日

・郵送申請:約30日

経営力向上計画の認定申請

(GビズID有り)

・オンライン:約14日程度

・郵送申請:最大1ヶ月

参考:GビズID GビズIDプライムアカウント申請前チェック 書類申請に関するご注意

 

【要件】最新の税制改正で設備要件に変更あり

本制度は、経営規模拡大設備のE類型が2025年4月に新設されました。E類型とは、売上高100億円超を目標とする、成長企業向けの区分です。

参考元:中小企業庁 令和7年度税制改正の拡充枠の留意事項について

 

拡充されたE類型では、従来の機械装置や測定工具に加え、今まで対象外だった建物及びその附属設備(工場の新増築や倉庫など)も優遇対象に含まれています。

一方でデジタル化によるビジネスモデルの転換が特徴のC類型は、E類型の創設と引き換えに廃止となりました。

したがって、C類型の活用を視野に入れている経理担当者や経営幹部の方は、すでに過去の制度となっている点に注意しましょう。

 

中小企業経営強化税制に関するQ&A

画像:中小企業経営強化税制に関するQ&A

本税制の申請や認定は、事前申請のタイミングや自社に相応しい類型の選択など、判断について疑問が生まれることも珍しくありません。

ここでは、中小企業経営強化税制に関するよくある質問をQ&A形式でピックアップしていきます。

 

即時償却の付表とは何ですか?

正式名称を特別償却の付表といいます。中小企業経営強化税制などの制度を活用して設備の即時償却(取得価額の全額を損金算入)する際、その計算内容を記載して法人税の確定申告書に添付する明細書です。

手続きをするうえで書類に不備があると、仮に要件を満たしていても否認となるおそれがあります。

申告前は必ず国税庁の最新様式をチェックしておき、間違いがないよう慎重に作成しましょう。

もし一連の対応や申請業務に不安がある場合は、サポートを得意とする税理士法人に任せるのも選択肢としておすすめです。

 

即時償却は本当に節税になる?

即時償却は税金を永久的になくす節税ではありません。今期の税を抑え、将来の税負担となる課税の繰延べ(先送り)にあたります。

節税を重視するなら、税額控除の方が有利です。例えば1,000万円の設備投資をする場合、即時償却を選んでも5年間のトータルの税金は通常の減価償却と変わりません。

一方で税額控除(10%)を選択すると、5年間で計上する経費は通常と同じ1,000万円でありながら、法人税からは100万円が差し引かれるため、通算で見ると高い節税効果を生みます。

 

中小企業経営強化税制の活用で賢い節税を!グロースリンクに相談しよう

中小企業経営強化税制は、対象となる設備の把握や用途が合致しているかの条件確認が大切な確認ポイントでした。

工業会の証明書が必要なA類型や、収益力強化が計画にある場合に適したB類型など、自社の事業内容にマッチした選択が欠かせません。

制度の選び方と進め方など、申請や効果の確認に不安があるなら、グロースリンク税理士法人のサポートを検討してみてはいかがでしょうか。

弊社では、経営力向上計画に関するお問い合わせを受け付けております。

中小企業経営強化税制に関する疑問や手続きでお悩みの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

 

■事業案内はこちら:https://www.tsurutax.com/#topbusiness

 

グロースリンク税理士法人代表 鶴田幸久

監修者:鶴田 幸久 グロースリンクグループ 代表 / 税理士

専門は法人税務、事業承継、および経営改善支援。 グロースリンク税理士法人をはじめ、グロースリンクグループの代表として、中小企業の税務申告から事業承継、スタートアップ支援まで幅広く手掛ける。「経営者の第一の相談相手」として、財務基盤の強化や経営計画策定などの伴走型支援に尽力。 行政・地域企業との連携や経営者向けセミナーの講師、Webメディアでの執筆・監修活動を通じて、実務に役立つ税務・経営情報の普及に精力的に取り組んでいる。

  • 専門分野:法人税務 / 事業承継 / 経営改善支援 / 相続対策

  • 著書【共著】:行列のできる歯科医院 5(デンタルダイヤモンド社)

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