相続
2026/11/06
自筆証書遺言について!書き方や法務局の保管制度をわかりやすく解説
財産があり法定相続人が複数いる場合「遺産相続でもめるのではないか?」「遺産相続をスムーズに進めるにはどうすればいいのか」といった悩みや不安を抱えている方もいるでしょう。
被相続人の意見を遺産相続に反映させる方法として「遺言書」が挙げられます。
中でも、自筆証書遺言は、自分で手軽に作成できる遺言書です。
公正証書遺言に比べると作成がしやすい一方、法律で定められた要件を満たしていないと無効になる可能性があります。
この記事では、自筆証書遺言の書き方やメリット・デメリット、保管方法、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」についてわかりやすく解説します。
自筆証書遺言とは?

自筆証書遺言とは、遺言者本人が自筆で作成する遺言書です。
公証人が作成に関与する公正証書遺言とは異なり、基本的に自分一人で作成できます。
証人も必要なく、費用を抑えながら自分のタイミングで作成できることが特徴です。
ただし、遺言書として効力を持たせるためには、民法で定められた要件を守る必要があります。
ここでは、自筆証書遺言の成立要件や記載例をご紹介します。
成立要件と書き方
自筆証書遺言とは、その名の通り遺言者が自筆で作成する遺言書です。
作成する際は、原則として遺言者本人が全文・日付・氏名を自筆し、押印します。
パソコンで作成した本文を印刷して署名するだけでは、自筆証書遺言として認められません。
日付は「令和○年○月○日」のように作成日を特定できる形で記載します。訂正にも決められた方法があるため、書き間違えた場合は注意しましょう。
なお、2019年1月13日以降、財産目録についてはパソコンで作成したものや、預貯金通帳・登記事項証明書などのコピーの添付でも認められるようになりました。
ただし、この場合、財産目録の各ページに署名・押印が必要です。
メリット・デメリット
自筆証書遺言のメリットは、自分で手軽に作成できることです。公証人への手数料などがかからず、証人も必要ありません。
例えば、将来的に書き直す可能性が高い遺言書の場合は、自筆証書遺言のほうが適しています。
また、内容を他人に知られずに作成できる点もメリットです。
一方、デメリットとしては自分で作成するため、方式の不備によって遺言書が無効になるリスクがあります。
さらに、自宅で保管すると紛失や改ざん、相続人に発見されないといった問題が発生する恐れがある点もデメリットです。
なお、こうした保管上のリスクを軽減する方法として、法務局の自筆証書遺言書保管制度があります。
ひな形・記載例
自筆証書遺言に法的効力を持たせるためには、以下の項目を満たす必要があります。
- 財産目録以外を遺言者が全文自筆で書く
- 自筆の署名と押印
- 遺言書の作成日を明記する
この3つを守れば、本文の書き方に厳密な決まりはありません。
ただし、誰にどの財産を相続させるのかを具体的に記載することが大切です。
以下は、自筆証書遺言の記載例兼ひな形です。
遺言書
遺言者○○○○は、次のとおり遺言する。
1.遺言者は、下記の不動産を長男○○○○に相続させる。
(不動産の表示)
所在:○○県○○市○○
地番:○番○
2.遺言者は、○○銀行○○支店の普通預金を長女○○○○に相続させる。
令和○年○月○日
遺言者 ○○○○ 印
このような形式を参考に、誰にどの財産を相続させるのかが明確になるよう作成しましょう。
自筆証書遺言の保管方法

作成した自筆証書遺言は、自宅で保管するほか、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用して保管できます。
遺言書は作成するだけでなく、相続が発生した際に確実に見つけてもらわなければなりません。
そのため自筆証書遺言は、保管方法まで考えておくことが大切です。
ここでは、自筆証書遺言の保管方法をご紹介します。
自宅で保管する
自宅での保管は費用や手続きが不要で、手軽に利用できる点がメリットです。
一方、デメリットとして、第三者による紛失や破損、改ざんの恐れがあり、家族が保管場所を知らず、遺言書を発見できない恐れがある点が挙げられます。
また、自宅などで保管されていた自筆証書遺言は、原則として相続開始後に家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。
自筆証書遺言書保管制度を利用して法務局で保管する
自筆証書遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で保管してもらえる制度です。
遺言書の原本と画像データが保管されるため、自宅で保管する場合に比べて紛失や改ざんなどのリスクを抑えられる点がメリットです。
利用する際は、遺言者本人が管轄する法務局に出向いて申請します。
また、法務局で保管された遺言書は、相続開始後の家庭裁判所による検認が不要です。
手間はかかりますが、遺言書を確実に保管したい場合はおすすめです。
自筆証書遺言書保管制度を利用するメリット

自筆証書遺言書保管制度を利用すると、遺言書を安全に保管できるほか、相続発生後の手続きを進めやすくなるメリットがあります。
ここでは、より詳しく制度を利用するメリットをご紹介します。
遺言書の紛失や改ざんを防げる
自筆証書遺言書保管制度を利用する最大のメリットは、紛失や破損、第三者による改ざん・破棄などを防げる点です。
法務局で遺言書の原本を保管してもらえるため、遺産相続の際にトラブルも発生しにくくなります。
特に、遺言者の生前から相続について法定相続人の意見が割れている場合などは、利用するメリットが大きいでしょう。
家庭裁判所での検認が不要になる
法務局で保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所による検認が不要です。
戸籍謄本などを準備して検認を申し立てる手間を省けるため、遺言者が亡くなった後の相続人の負担を軽減できます。
遺言書の形式を確認してもらえる
自筆証書遺言の保管を申請する際には、法務局で遺言書が民法で定められた形式に適合しているか外形的な確認が行われます。
そのため「作成したが、法的な効力がなく遺言書が無効になった」という失敗を防げます。
ただし、遺言内容の法的な有効性まで保証してもらえません。
遺言書の内容について不明な点がある場合は、税理士や弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
相続人に遺言書の存在を知らせられる
自筆証書遺言書保管制度を利用した場合、遺言者が希望すれば、死亡後に指定した人へ遺言書が保管されていることを知らせる「指定者通知」を利用できます。
遺言書が存在することを相続人などに知ってもらいやすくなるため、遺言書が見つからないまま相続手続きが進むといった失敗を防げる点がメリットです。
自筆証書遺言書保管制度を利用するデメリット

ここでは、自筆証書遺言書保管制度を利用するデメリットをもう少し詳しくご紹介します。
便利な制度ですが、手続きの手間や費用がかかること、遺言内容まで確認してもらえるわけではないことには注意が必要です。
遺言者本人が法務局で手続きする必要がある
保管申請は遺言者本人が法務局に出向いて行います。
家族や税理士・弁護士等の専門家による代理申請はできません。
遺言者本人が法務局まで出向くことが難しい場合は、別の方法がおすすめのケースもあります。
保管申請に手数料がかかる
自筆証書遺言書保管制度を利用すると申請時に以下の手数料が必要です。
- 遺言書の保管の申請:3900円/件
- 遺言書の閲覧の請求(モニター):1400円/回
- 遺言書の閲覧の請求(原本):1700円/回
この他、交付請求などにも1回ごとに費用がかかります。
そのため、何度も閲覧したり遺言書を書き換えて再度申請したりすると費用がかかります。
費用を含めて、自分に適した保管方法を検討しましょう。
遺言内容の有効性までは確認してもらえない
自筆証書遺言書保管制度を申請する際、法務局が確認するのは、遺言書の形式面だけです。
「誰にどの財産を相続させるか」といった内容の適切性や法的な有効性は審査されません。
そのため、法務局で保管されたからといって、相続トラブルが必ず防げるわけではない点に注意しましょう。
自筆証書遺言は自作できる?専門家に依頼すべき?

自筆証書遺言は、法律で定められた要件を守れば自分で作成できます。ただし、遺言書の内容や相続関係によっては、専門家に相談したほうがよいケースもあります。
「自分で作成できるか」「専門家に依頼すべきか」は、財産や相続人の状況を踏まえて判断しましょう。
相続関係がシンプルなら自作も検討する
相続人や財産が少なく、誰に何を相続させるかが明確な場合は、自筆証書遺言の自作を検討してもいいでしょう。
法務局では自筆証書遺言書の様式や作成時の注意事項を公開しているため、参考にしながら作成できます。
さらに、自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失や改ざんなどのリスクも抑えられます。
ただし、自作する場合でも、法律で定められた形式を守ることが必要です。
財産を正確に把握したうえで、誰にどの財産を相続させるのかが明確になるよう記載しましょう。
相続トラブルが心配なら専門家への相談がおすすめ
相続人が多い場合や財産関係が複雑な場合、相続人同士のトラブルが予想される場合などは、専門家への相談がおすすめです。
たとえば、特定の相続人に多くの財産を相続させたい場合には、ほかの相続人の遺留分にも配慮する必要があります。
また、不動産や自社株などが財産に含まれている場合は、遺産の分け方だけでなく、相続税まで考慮した対策が必要になることもあります。
遺言書は形式上有効であっても、その内容によっては相続人同士のトラブルに発展する恐れもあるので、内容を専門家に確認してもらったほうがよい場合もあるでしょう。
遺言書を作成する目的は「書類を残すこと」ではなく、自分の意思を実現し、家族が円滑に相続できるようにすることです。
不安がある場合は、作成する段階から相続に詳しい専門家へ相談してください。
自筆証書遺言書の作成や相続のご相談ならグロースリンク税理士法人へ

自筆証書遺言は自分で作成できますが、遺言内容を考える際には、将来発生する相続まで見据えることが大切です。
グロースリンク税理士法人では、相続に関するさまざまなご相談に対応しています。「遺言書を作成したいけれど、どのように財産を分ければよいかわからない」「相続税についても考えておきたい」といった方は、ぜひご相談ください。
相続に精通した専門家に相談できる
相続では、財産の分け方だけでなく、相続税や不動産、各種手続きなど幅広い知識が必要になることがあります。
グロースリンク税理士法人では、相続に関する豊富な知識と経験を持つ専門家が、それぞれの状況に応じたサポートを行っています。
遺言書を作成する際にも、現在の財産や家族構成を整理し、将来の相続を見据えて検討することが大切です。
相続税の負担なども含めて事前に相談することで、自分や家族に適した相続対策を考えやすくなります。
遺言書作成から相続までワンストップでサポート
遺言や相続では、税務だけでなく、法律や登記などに関する手続きが必要になるケースがあります。
グロースリンクグループには税理士法人のほか、司法書士法人や行政書士法人などがあり、専門家が連携して相続に関するご相談に対応しています。
遺言書を作成する段階から実際に相続が発生した後まで、状況に応じて必要なサポートを受けられることが強みです。
「何から始めればよいかわからない」という場合でも、まずは現在の財産や家族の状況を整理するところから相談できます。
将来の相続に不安がある方は、早めに準備を始めておきましょう。
自筆証書遺言はメリットとデメリットを把握したうえで利用を検討する
自筆証書遺言は、自分で手軽に作成できることがメリットです。一方、法律で定められた形式を守らなければ無効になる可能性があり、自宅で保管する場合は紛失や改ざん、発見されないリスクもあります。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、安全に保管できるほか、家庭裁判所による検認が不要になるなどのメリットがあります。ただし、法務局では遺言内容の有効性まで確認してもらえるわけではありません。
相続関係や財産が複雑な場合には、遺言書だけでなく、その後の相続税や手続きまで考えておくことが重要です。
自筆証書遺言の作成や相続について不安や疑問がある方は、相続に精通したグロースリンク税理士法人へご相談ください。
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監修者:鶴田 幸久 グロースリンクグループ 代表 / 税理士 専門は法人税務、事業承継、および経営改善支援。 グロースリンク税理士法人をはじめ、グロースリンクグループの代表として、中小企業の税務申告から事業承継、スタートアップ支援まで幅広く手掛ける。「経営者の第一の相談相手」として、財務基盤の強化や経営計画策定などの伴走型支援に尽力。 行政・地域企業との連携や経営者向けセミナーの講師、Webメディアでの執筆・監修活動を通じて、実務に役立つ税務・経営情報の普及に精力的に取り組んでいる。
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